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中国と日本

中国人は、なぜ自分勝手なのか?

2012年09月22日

中国の道路で女の子が車に撥ねられた動画が話題になった。2歳の女の子が轢かれたが、運転手は気づいたにもかかわらず、後輪で「よっこらしょ」と女の子の体を乗り越えてそのまま行ってしまい、通行人はだれも助けようとしない。後続の車にも轢かれ、やっと10数人目に通りかかった女の人が、その子を病院に運んだという。
見た人も多いと思うが、掲載しておこう。

衝撃映像 事故に遭った2歳児を通行人が次々と無視(中国)

10数人もの人間が、瀕死の重傷を負った子どもを無視して、よけて歩いて行くなんて、世界でも中国くらいのものだろう。恐ろしい国である。

さて、中国で取り引きしている人の中には、きちんと契約したはずがいきなりご破算になったり、騙されたりといった手ひどい仕打ちを受けた経験のある人も多いだろう。列に割り込みされた人は、相当たくさんいるだろう。実はこういったことは上記の女の子の話と無関係ではない。

中国の共同体は、日本の共同体とも、アメリカの共同体とも異なる異質なものなのだ。


今、私の手許に1冊の本がある。『小室直樹の中国原論』(徳間書店)というものだ。私の知る限り、最も中国人の本質に迫ったものである。この書に依りつつ、考えて行きたい。小室直樹についてはご存知の方も多いと思う。すでに亡くなられたが、経済学、社会学の泰斗で、東大教授として、多くのすぐれた弟子を育てた人だ。

小室直樹は中国独特の人間関係を分析する手がかりとして、「帮」(ほう)を挙げている。簡単に言えば、輪のようなものだ。自分と同じ輪の中にいる人とはあつい信頼で結ばれ、輪の外にいる人はどうでもいい、という中国の共同体だ。

例を挙げれば、『三国志』の劉備玄徳と関羽と張飛は、同じ「帮」の中にいる。
「生まれた日は違っても、同じ日に死のう!」というほど、濃い関係で結ばれている。
また、劉備玄徳と諸葛孔明も、同じ「帮」の中にいる。いわゆる「水魚の交わり」である。諸葛孔明と関羽、あるいは諸葛孔明と張飛は同じ「帮」とまでは言えないが、かなり近い関係にある。

小室直樹は中国独特の人間関係として、もうひとつ「情誼」(ちんいー)を挙げている。これは「帮」ほど強くはないが、利害関係を共にし、その深さによって、態度も変わる、という。同じ商品でも「情誼」が深い相手や深めて行きたい相手には安く売り、「情誼」の結びつきのない相手には高く売る。

小室直樹は、さらに「宗族」(そうぞく)を挙げている。これは父系の血縁関係である。劉でも関でも張でもよいが、先祖を同じくする宗族は、身分や収入や利害を超えて、堅く結ばれる(注:姓が同じであれば、宗族も同じとは限らない)。

図にすれば、次のようになる。

中国の人間関係 中国の人間関係 中国の人間関係

帮(ほう):特別な信頼で結ばれた強い共同体。
情誼(ちんいー):親しい関係。濃い関係から薄い関係まで段階がある。
宗族(そうぞく):父方の同じ先祖を持つ人。身分に関係なく親しくなる。
それ以外:生きようが、死のうが、どーでもいい。


中国人の問題は「帮」や「情誼」や同じ「宗族」の輪の中にいる人に対しては誠実そのものだが、輪の外にいる人に対しては、煮て食おうが焼いて食おうがどうでもよく、略奪、強姦、虐殺……何をやってもかまわないと思っていることにある。

もちろん日常生活の中で普通につき合っている分は、多くの中国人は善良な人々だろう。しかし、何かあると、この「本質」が現れる。
小さな女の子が大けがを負っているのに、それを無視して平気なのは、自分の輪の外の人間だからなのだ。
中国では食材も安心して買えない、というのも同様のことが根底にあるのだろう。「輪」の外にいる人間の安全なんて「どーでもいい」と思っているのだ。そして、買う側もそのことはよく知っている。
日本人にも内と外で態度を変える人がいないことはないが、レベルが違う。中国人は異星人、と考える方がよい。

日本人の中で、中国で成功した人は、中国人と「帮」を築くとまではいかなくとも、「情誼」の輪の中に入れた人であり、手ひどく騙された人は「情誼」の輪の中に入れなかった人なのだろう。
輪の外の人間を騙すのなんか、当たり前。「情誼」の濃さで値段が違うのも当たり前。まともに取り引きするか、騙して身ぐるみを剥ぐかは、その中国人の気分次第、人柄次第なのである。

まして、東アジア・東南アジアで唯一中国を超える力を持ち、従おうとしない日本人など、皆殺しにしてもよいと思っているのが本音だろう。私たちは、そういう特殊な人間性の国を相手にしていることを忘れてはならない。

<後記>
中国人には、もちろん「自分勝手」という意識はない。これが当たり前の社会構造だからだ。
では、中国人と「情誼」で結ばれるには、どうすればよいのか?
まずは礼を尽くし、利害を求めず、関係を築かなければならない。劉備玄徳が諸葛孔明に「三顧の礼」を尽くしたように。
時間をかけて関係を築いたあとで、ようやく仕事のおつき合いが始まるのである。
企業と企業の取り引きでも、濃かれ、薄かれ、「人の関係」が重要になる。
担当者が異動になるときも、日本のように「○○社の○○です」という仕事の仕方であれば、後任者に引き継いでもらえるが、中国では最初から関係を築き直さなくてはならない。

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著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

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