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中国と日本

反日運動の本質は、中国政府への不満や反発である。

2012年09月20日

反日運動が続いている。
在中の日本企業や日本人が受けた被害と迷惑はたいへんなものだ。しかし、日本国民としては「そんなに嫌われているのか?」と思う必要はない。

これは、実は中国政府主導のヤラセで、民衆の不満のガス抜き政策である。
中国の最大の敵は、アメリカでも、ロシアでも、日本でもない。中国自身である。

共産党は今やマルクスともレーニンとも毛沢東とも全く関係のない、政党というよりは、ただの俗悪な利益団体になってしまった。国の利権のほとんどを共産党員が独占し、賄賂をもらいまくり、よい食事も、よい学校に子息を通わせる権利も我がものにしている。一方、庶民の中には劣悪な住居に住み、貧しい暮らしをしている者も少なくない。暴力団が支配しているような国だ。
そのせいで不満がふくらんで爆発しそうになるため、中国政府は時々、発散の機会を設けることにしている。それが反日デモだ。

中国の民衆とすれば、しょせん政府の手のひらの上で踊っていることはわかっているが、それでも反日のフリをすれば、「愛国無罪」として罪にならないから、憂さ晴らしを兼ねて在留の日本人や日本料理店などを襲撃し、共産党への不満を爆発させているのである。

中国政府が怖れているのは、反日運動が激しい民主化運動となって盛り上がることだ。
中国公安当局は19日、日本政府の沖縄県・尖閣諸島国有化に抗議し、北京の日本大使館前などで続いてきた反日デモを禁止し、完全阻止する方針を決めた、という。これは運動が盛り上がり過ぎて、矛先が政府に向かうことを怖れたためだ。


共産党の一党独裁と経済の市場化の矛盾は、限界に達している。
かつて市場開放に乗り出した鄧小平の考えを一言で言えば、「豊かになれる者から豊かになってもらう」ということだった。

お金というものは、まず最も金儲けのうまい者に渡り、その手からこぼれたお金が次に金儲けのうまいものに渡り、その手からこぼれたお金が次に…と、流れる水のように行き渡ってゆくものである。膨大な中国国民が全員同時に豊かになることなどあり得ないのだから、海に面した都市の金儲けのうまい者から先に豊かになってもらおうと考えたのだ。その意味では、鄧小平のやり方は間違っていない。

しかし、年月を経るほどに、中国では想像を絶するような大きな格差が生じてしまった。汚職やダマシ商売は日常茶飯事で、相当な公害や公害病が発生し、それを政府が隠していることも想像に難くない。

人件費は先進国に近づき、「世界の工場」の時代も終わりつつある。にもかかわらず、「安さ」以外の武器を持っていない。
高齢化は進んでいるし、バブルはいつ崩壊してもおかしくない。

反日運動は、まだ中国政府のコントロール可能な範囲内だが、それでも「指示出し」をできる人物は中央以外に何人もいる群雄割拠状態で、権力者の力比べの場ともなっている。

臨界点を超えたら、共産党一党独裁体制が崩壊する。


中国には本来、覇権拡大などに手を出している余裕はないはずである、と言いたいところだが、武張ったことを言わないとあの国では馬鹿にされて、政権が崩壊してしまい。結果、どんどん派遣拡大が続く。。
一方、内陸部を富ませていく政策に失敗すれば、体制は崩壊し、一気に民主化が進む可能性もある。

ただし、その先は読みにくい。民主化=明るい未来とは限らない。混乱を極めて、日本やアメリカ、ヨーロッパの経済に大きな打撃を与える怖れもある。
なにしろ「自由」と「自分勝手」の区別がつかない国民なのだから、下手に民主化したら何が起こるか、わかったものではない。
うまく国民をコントロールしてくれることを願う。

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著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

【中国と日本】

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