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日本の政治・経済・社会

茅ヶ崎漁港立ち入り禁止/漁港は誰のものか?

2016年04月06日

内容的におかしい市役所の回答

釣具のチェーン店上州屋に行き、レジでお金を払って出ようとしたら、壁に貼られた湘南・江の島の漁港の写真数枚のうち、茅ヶ崎漁港の上に×印がついていた。立ち入り禁止になったとのことである。以前から入り口に太い鉄の鎖が張られていたが、いよいよ全面禁止というわけだ。

検索してみると、いろいろ情報が上がっている。次のサイトの運営者の方は市に質問をされたようで、市の担当者からの回答が掲載されている。
近場でチヌを求めて「茅ヶ崎港釣り禁止について」

一部を引用させて頂こう。

近年、投げ釣りが原因で漁船の一部が損傷する、防波堤でバーベキューを行っている等の行為がされ、漁港としての主たる目的である漁業に支障をきたしてしまい、一部利用者と漁業者との間でトラブルが生じております。
また、漁港施設での危険な行為が増加しております。
実際に茅ヶ崎漁港では防波堤やテトラポッドからの転落事故の発生や漁港湾内での遊泳等、事故に繋がる危険性がある行為が行われております。

しかし、この回答は、少しおかしい。

「投げ釣りが原因で漁船の一部が損傷」というのは、釣り人が竿を放置したまま持ち場を離れ、帰港してきた船が仕掛けを引っ掛けてしまうケースだろうか。しかし、釣り人だって竿を失いたくないので、普通は船が来たら引き上げる。頻繁に起きる事故とは思えない。
「防波堤でバーベキュー」している人は、長年海のそばに住んでいるが、見たことがない。かなり稀な例だと思う。
「防波堤やテトラポッドからの転落事故」に関しては、釣り人と漁業者とのトラブルというよりは、海保や消防に迷惑をかける話なので、別扱いにすべきではないか?
「漁港湾内での遊泳」も、稀な例だろう。油やゴミや魚の死骸が浮いている漁港で泳ぐ人は普通いない。

どうやら、漁師たちが極端な例を役所に言い立て、ふだん釣りをしない担当者がそれを真に受けて、質問者を説得しようとしたものという印象を受ける。おそらくは、休日には釣り人でいっぱいになるので、邪魔だというのが本音だろう。

それでも船体を損傷させるような重大なものまで、釣り人のマナーの悪さが原因のトラブルは発生しているのだろう。そういった観点から見ると、立ち入り禁止もやむを得ないと言える。

しかし、それだけでは一面的な見方である。
次に釣り人から見た論理を展開してみたいと思う。

釣り船漁師は漁師ではなく、観光レジャー業者なのでは?

釣り人から見る最大の問題は、「漁港は誰のものか?」ということだろう。人々は、暗黙の了解として、漁港を公共財と見なしている。税金でつくられるからだ。漁港の建設費用は、国から補助金を受けることもあるが、基本的に地方公共団体の財源から出される。市民から見れば、漁港で釣りをするのはごく自然な権利である。

実際、漁港の建設や整備にかかる費用は小さくない。茅ヶ崎漁港の場合、15年ほど前のことだったと思うが、漁港全体を守るため、少し沖側に陸と平行に大きな防波堤もつくられた。地図で調べると、長さ225m、幅10mほどで、高さは家の2階くらいある。
長さは戦艦長門とちょうど同じで、船で近くによると要塞のような貫禄だ。これだけで億単位の金が動いただろう。

もちろん費用がいくらかかろうと、漁港を使う権利は漁業者にあることは、漁港漁場整備法という法律で規定されている。役所は公式見解を採らざるを得ないし、トラブルが起きれば警察が注意し、場合によっては軽犯罪法が適用される。

しかし、広い心で見れば、漁港の働きは漁業のための施設というだけではあるまい。
別のものになぞらえて言えば、人が図書館を利用する主目的は本を借りることと調べ物であるが、受験勉強をする場所でもあるし、高齢者やフリーターにとってはお金のかからない居場所になっている、というのに似ている。

さらに、都市圏に多い釣り船漁師の場合、市場に魚介類を供給するわけではなく、そもそも漁業者と呼んでよいかどうか、グレーである。釣り船というのは、くだもの狩りやマリンスポーツ、あるいは観光タクシーと同じで、実質は観光レジャー業だろう。
ところが、ほかの観光業者やレジャー業者が必要な設備を自費で確保するのに対して、釣り船漁師は税金で港を整備してもらう。

そこで市民から見れば、「漁師といっても名ばかりの、ただのレジャー業者のために、なぜ我々の税金を使わないといけないのか? せめて釣りくらいさせろ!」ということになる。

わずか10軒程度のレジャー業者のために使われる億単位の税金

防波堤での釣りは、全国的にほとんど黙認状態となっている。それはひとつには、このようにデリケートな問題を孕んでいるからだ。釣り船漁師についても、もし真面目に裁判をすれば、漁業者の対象外とされる可能性もあり得ない話ではない。

黙認の理由のもうひとつは、人々が自然に親しむ機会は、やはり大切にすべきものだからである。

こういう場合に重要なのは、融和の道を選んで歩み寄ることだろう。私も座った周囲のゴミは、自分のものでなくても持って帰る。自分だって、仕掛けの袋や台紙を風で飛ばされてしまうようなことはあるのだから、その分、回収しているつもりだ。
実際のところ、悪質な釣り人は全体の中の一握りである。大多数は普通に竿を出し、片付けて帰る。
しかし、茅ヶ崎の漁師たちは、歩み寄りへの努力を放棄してしまった。

その結果、市民から見れば、わずか10軒あるかないかのレジャー業者のために、億単位で税金を使われたことになった。たまったものではない。防波堤が釣り場や子どもの遊び場とされていれば、憩いの場として市民公園的な〝色〟も出てくるが、立ち入りを禁じてしまえば、それもない。
多額の税金を私的な利益のために使うことを当然の権利と考えず、市民のために何ができるか、配慮してくれたら、と思う。

それに、足場のよい防波堤は親が子どもに釣りの楽しみを教え、人々が釣りに親しんでいく入門場所である。防波堤が立入禁止になったら、将来は釣り船の客もいなくなるだろう。
この点、マクドナルドがハッピーセットを、すき家がお子様セットを用意して、将来の顧客を育てているのを見習った方がよい。

今後、私自身は、船釣りするとき、絶対に茅ヶ崎だけは避ける。
初心者や子どもや一般の釣り愛好家を露骨に「出て行け」とあしらい、金になる客だけ歓迎する漁港の釣り船など、誰が乗るものか!

同じ集落に暮らすエサ屋を犠牲にするレジャー業漁師たち

追記である。久しぶりに海際のサイクリングロードを自転車で走ったら、エサ屋「たつみ屋」のオバチャンが、店から離れた小さな鳥居の前に座って、ボーッと空を見上げていた。
お客がまったく来ないのだろう。そう思うと気の毒で声を掛けたくなった。しかし、私も若い頃は週に1回は出撃していたが、最近は年に2、3回、子どもを遊ばせる程度でしか釣りはやらない。顔など覚えられていないだろうと思ってやめた。

茅ヶ崎の漁民はケツの穴の狭い者どもで、社会に貢献する心を持たず、一般市民を追い出して自分たちだけで占有している。さらに、同じ集落に暮らすエサ屋まで窮地に追い込んでいる。
きつい言い方をすれば、社会の寄生虫だ。

ニセ漁民どもは、市民の税金を私的な利益のみに使った罰を、客の減少という形で受けることになるだろう。

レジャー業者のために駐車場を提供する茅ヶ崎市

もうひとつ付け加えることがある。
近隣の市や町では、漁港近くの駐車場は市営駐車場となっており、誰でも車を停めることができる。当然の話だ。しかし、茅ヶ崎の場合、釣り船客しか停めることができない。
客商売用の土地を提供して工事まで行うのは、明らかに市の行政として不適切である。

以前のコメント

このサイトは以前、seesaaの無料ブログで運営されていました。その頃、頂いたコメントを紹介させて頂きます。
新規のコメントは、ぜひ、下記のコメント欄にお書きください。

先月茅ヶ崎にマンションを購入、リタイヤ後は子供の頃楽しんだ釣りをするのを楽しみにしていました。
市には再考をお願いしたいと思います。
年寄りの楽しみを取り上げないでほしい。
Posted by 小林 博行 at 2016年10月06日 01:58

子供の事情でしばらく釣りが出来なくて、久々に陸っぱりからはじめようと思ったら、茅ヶ崎港の釣り禁止を知りました。
最初から船釣りなんか敷居が高くてとても出来ないから、やはり、堤防釣りからがスタートだと思います。その際、馴染みがある堤防に止まっている船なら乗ってみようかなと思いますが、一般の釣り人を閉め出すような港では船釣りをしたくないですね。
昔は子連れの際は堤防で、大人だけの時は茅ヶ崎の船宿を利用していましたが、もう利用しないかな。
Posted by みよ at 2016年11月08日 15:58

茅ヶ崎の船には乗らないという考え、賛成です。
私も、茅ヶ崎はやめました。
平塚や葉山に行きましょう。
Posted by スー太郎 at 2016年11月13日 01:13

私は茅ヶ崎漁港で、漁師に車で嫌がらせを受けたことがあります。
子供と釣りに行ったら、釣り人で一杯だったので、やむなく黒と黄色のラインが引いてあるあたりに陣取りました。 右側の堤防の先の、二股になっているあたりです。
すると、目をつぶっても方向転換出来るスペースがあるのに、漁師がギリギリまで車を寄せてきました。子供は横っ跳びに避けました。前へ飛んだら、海に落ちていました。
こちらにも非はあると思います。
しかし、車という凶器になりえる物で、生身の人間に迫ってくるのは、いかがなものでしょうか。
茅ヶ崎の漁師は、心狭すぎです。
Posted by 椎名 at 2016年11月14日 22:53

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著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

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