国民のための社会科

日本の政治・経済・社会

がんからの生還ー標準治療と高タンパク・高ビタミンの「ハイブリッド作戦」(番外編)

2017年8月4日

有名人のがん闘病がしばしば報じられるが、実は私もがん闘病中である。2016年2月末にすい臓がんステージ4-a(あちこちに転移した状態)から手術を受け、ギリギリ間に合ったが、今年2017年2月に再発した。
その後、抗がん剤治療を続けて、6月に撮影したPET-CT(放射性物質を注射して撮影する、通常のCTより精密なCT)でがんは消え、現在は放射線治療を受けている。運がよければ長期延命できるかもしれない。
そのカギとなったのは、「タンパク質とビタミン・ミネラルの合理的な摂取により、組織の再生を高効率で行う」という考えである。

がんの話は政治を主テーマとするこのサイトではテーマ外であるし、私だって1〜2年後には世を去って、「何か書いていたけど、ダメだったな」と言われてしまうかもしれない。そのため、発表するかどうか、1ヶ月ほど原稿を寝かして迷っていたのだが、どなたかの役に立つかもしれないので、番外編として体験論を公開してみようと思う。

【内容】
■治療へのシンプルな方法論の提起
■がんは、なぜ生じるか?
■がんから回復する・予防する3本柱とは?
 1.タンパク質:DNAの設計図通りに組織を再生する主役
 <コラム>温泉卵のつくり方:持続可能な良質タンパク質の摂取
 <コラム>コレステロール悪玉説は根拠なし!
 2.ビタミン:タンパク質とともに組織再生のカギとなる
 ・その他(コエンザイムQ10・ミネラル)
 <コラム>ビタミン・ミネラルには、なぜ体に必要なの?
 3.活性酸素の除去:生体細胞の酸化を防ぐ
■似非医学と民間療法について
 ・ビタミンC療法:「風邪に生姜」くらいの気休め
 ・糖質断ち:病人には危険な民間療法
 ・ANK細胞療法・NK細胞療法:全く効果がない高額医療
■三石氏のプロテイン「SOS」について
■がんから生還するために
 <コラム>気功や念力治療は、がんにどの程度有効か?

治療へのシンプルな方法論の提起

がんが再発したとき、私は「自分だけは奇跡を起こす」と決めて、ヒントを求めて超スピードでさまざまな本を読み、次のような方法論に達した。

1.自分で健康を保つ努力をする。これが「防衛」である。
2.「攻撃」は、医師に任せる。
3.ダメなら諦めて、死ぬまでにやれることをやる。

シンプルすぎて拍子抜けかもしれないが、「解」はこれ以外に思いつかなかった。イメージとしては、地球防衛軍や自衛隊が頑張って怪獣の前進を阻めば、きっとウルトラマンが怪獣を倒してくれるというものだ。
しかし、がんはウルトラマンより強いゼットンみたいなものだ。それに、ウルトラマンも戦いながら街を破壊してしまう(=副作用)。さらに抗がん剤にはタイムリミットもある。がんが耐性をつけると抗がん剤は効かなくなるし、副作用が強くなれば治療は打ち切られる。カラータイマーの時間が尽きる前に、勝負をつける必要がある。
そのためには、地球防衛軍や自衛隊の力を相当に高めなければならない。

私はこの考えをプーチンの言う「ハイブリッド戦争」に倣って、「ハイブリッド作戦」と名づけた。
プーチンは、ロシアの実力ではアメリカやNATOと正面から対峙するのは難しい現実を踏まえた上で、勝つために戦闘よりも諜報や裏工作、広報などに重点を置く。
もちろん昔から戦争とはそういうもので、プーチンがわざわざ「ハイブリッド戦争」と表現するのは、自分の中で意識化するためだろう。私も似たようなものである。

「防衛」のヒントとなったのは、友人がくれた三石巌氏の「医学常識はウソだらけ」(祥伝社)である。
三石巌氏は慶応・日大・津田塾・清泉女子大の教授を務めた物理学者だ。本のタイトルはアオリ感が強いが、これは出版社の意向だろう。小中学校の教科書も書いていたそうで、タイトルに反して中身は「まとも」である。

三石氏の考えの基になっているのは、国立がんセンター研究所の生物物理部長を務めた永田親義氏の研究である。一般向けの著作に「ヒトのガンはなぜ生じるか」(講談社ブルーバックス)がある。
三石氏も永田氏もすでに故人で、生きていれば100歳前後の世代だ。決して新しくはないが、ベーシックな部分なので今でも有効と考える。

がんは、なぜ生じるか?

がんは遺伝子のエラーによって起きるとされる。では、なぜエラーが生じるのか?
永田氏はノーベル賞を受賞した福井謙一氏のフロンティア理論をベースに、医学と物理学の融合的な解説を展開している。複雑なので一言で要約すると、がんの原因は「酸化」である。

分子は原子から成り立っている。原子は、原子核のまわりを電子がまわっている。
発がん物質にはほかの物質から電子を奪う作用があり、生体の細胞に発がん物質の分子が近づくと、細胞は電子を引き抜かれ、発がん物質は安定化する。
理科で習った用語で言い換えると、生体分子は酸化され、発がん物質は還元される。

発がん物質の代表は、活性酸素である。酸素にはほかから電子を取り込もうとする性質があり、体に入った酸素の一部が活性酸素となって、生体から電子を奪おうとする。
細胞は電子を奪われると酸化され、DNAに傷がつく。傷ついても修復されて元にもどるが、もどらないうちに何度も酸化されると、異常増殖を始める。これががんだという。

がん発生のメカニズム がん発生のメカニズム がん発生のメカニズム

ご興味がある方は「ヒトのガンはなぜ生じるか」を読んで頂きたい。科学入門書として定評のある講談社ブルーバックスの1冊なので、面白く読めると思う。三石氏の「ガンは予防できる」もよいが、三石氏については「医学常識はウソだらけ」の方が読みやすく、応用の範囲が広いので、まずこちらをお勧めしたい。

がんから回復する・予防する3本柱とは?

三石理論は、高タンパク・高ビタミン・活性酸素の除去の3本の柱から成り立っている。
三石理論の3本柱

タンパク質

生体の細胞は、内臓も筋肉も血管も酵素もタンパク質から出来ている。骨も初めはタンパク質からつくられ、あとでカルシウムが付着して硬くなる。人の体はタンパク質でできており、DNAの指示に従って組織を再生するには、タンパク質が絶対に必要だ。

三石氏は、タンパク質で重要なのは「質」であると言う。では、「質」とは何か?
アミノ酸という名の有機物は数々あるが、タンパク質を構成するものは20種類に限られている。人体にはその20種類のアミノ酸が常備されている必要がある。揃っていないと、DNAの設計図通りに組織をつくることはできない。
このうち10種類は体内でつくり出せるが、残りの10種類は体内ではつくれない。この10種類(体は9種類、脳は10種類必要とする)のアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、人体が求めるのに近い比率で含んでいるのが良質なタンパク質である。

「質」はプロテインスコアとして表される。

食品 プロテインスコア
100
サンマ 96
豚肉 90
鶏肉 87
牛肉 80
牛乳 74
大豆 56

スコアが低いタンパク質は、オーケストラで言えばバイオリンを弾く人はいるがビオラを弾く人はいないみたいなもので、スコア50の食材を2倍摂れば100になるわけではない。その点、卵のプロテインスコアは100なので、卵さえ十分に摂っていれば、人体はDNAの設計図通りに組織を再生できる。値段も安く、黄身にはビタミンAなどが豊富に含まれ、卵に勝る食品は簡単にはない。三石氏は1日に5〜6個、温泉卵を食べていたという。

ただし、生卵はよくないそうだ。生卵の白身には殻を通して侵入してくる菌から黄身を守る働きがあるので、火を通す必要があるとのこと。(たまに卵ご飯を食べるくらいなら、問題ないだろう)。
なお、ヨード卵のヨードは多過ぎると甲状腺の異常につながるので、普通の卵の方がよいという。

タンパク質は、体重1kgあたり1日に1g必要とされる。卵1個に入っているタンパク質は6〜7gだから、体重60kgの人なら卵10個くらい必要だ。これを達成するのは難しいが、近づける努力はしたい。

温泉卵のつくり方〜持続可能な良質タンパク質の摂取

卵は温泉卵にすると、摂取が楽である。
まずは家族の味噌汁をつくるくらいの直径20cmの鍋に、深さ7〜8cmまで水を入れて、グラグラの熱湯にする。ここにマグカップに軽く3分の2か、1杯の水を入れて、少し温度を下げる。
卵10個パックをレンジで温める。冷蔵庫で冷えたものはM玉1分間、L玉1分15秒、常温のものなら30秒が目安(短時間なので、まず爆発はしない)。
卵は温めムラが多少あるので、冷たいものから順に湯に入れ、鍋のふたをして待つこと、M玉10分、L玉12〜14分。取り出したら、余熱で白身が硬化するのを防ぐため、水に1分ほどつけて冷やす。(湯につける時間は鍋の厚みやマグカップの水の量、温度などでも変わるので、微調整。)
コツは、電子レンジで卵の内部を温めておくこと。こうすることで、黄身がほどよい硬さになる。
食べるときは、麺つゆか醤油を少しかける。


卵は1日に10個摂るのが理想だが、現実には飽きるので難しい。そのための心強い味方がプロテインである。

ザバスプロテインプロ100調べた中で一番理想的なのは、「ザバス プロ クリアプロテイン」である。値段は高めだが、タンパク質含有量97%、アミノ酸スコア100である。かつ、バニラやチョコレートなどの余計な風味がついていないので、飽きもこない。
<後記>アミノ酸スコアは「ある食品の窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が、基準値と比較してどのくらい含まれているかを示す」というが、プロテインスコアとの違いが、正直、よくわからない。
一応、公式サイトで紹介するが、amazonの方が若干安いと思う。ドン・キホーテなど量販店のスポーツコーナーで見かけることもある。ドラッグストアで取り寄せも効くのではなかろうか。
【HP】ザバス プロ クリアプロテイン100(明治乳業)

アルプロン ナチュラルホエイプロテイン100「ザバス プロ クリアプロテイン」は高価なので、代替品を探してみた。プロテインスコアやアミノ酸スコアに厳密にこだわらなければ、アルプロン(アマゾン)風神(アマゾン)ビーレジェンドなど、価格で勝負しているプロテインは色々とある。
【後記】私はザバスを使っていたが、「ある程度、病状の進行を遅らせることができればいいのではないか?」と考えるようになり、値段を比べてアルプロンに替えた。

このほか大豆(ソイ)を原料とするものもあるが、まずいのでお勧めしない。続けられないと思う。
なお、プロテインは常温で長期間置くと劣化するので、冷蔵庫の野菜室などに保存すること。びんに小分けしておくと、使いやすい。
もちろん、最も確実なタンパク源は卵なので、無理のない範囲で卵の摂取を忘れずに。

タンパク質が足りない場合、体の組織は体内の古いタンパク質を使って再構築される。家のリフォームに古い材木を使うようなものだ、という。それでも何とかなるが、がんから生還しようと思うなら、新しいタンパク質をたっぷり摂るに越したことはない。

また、必須アミノ酸以外のアミノ酸だって、どんどん摂取した方がいいに決まっている。体内でつくり出せるアミノ酸だって、材料がないとつくれないのだから、とにかくタンパク質を補給することは大切なはずだ。そのため、牛乳や豆乳も飲むし、肉や魚も少しでもよいから食べるように努力している。

コレステロール悪玉説は根拠なし!

卵のコレストロールが体に悪いと思っている人が多いが、それは違う。むしろコレステロールは体に必要な成分である。

コレストロール悪玉説は2つの誤解に行き着く。ひとつは卵をウサギの餌に混ぜた、昔のロシアの科学者による実験である。草食のウサギの餌に動物性の食べ物を混ぜたのだから、根拠がおかしい。

もうひとつは、コレステロールを体内に運ぶシステムについての誤解である。
コレステロールは肝臓でリポタンパクというタンパク質に梱包されて血液の中を流れ、体内の各所に届けられる。このリポタンパクが変質するのが問題なのだ。
リポタンパクが変質しないようにするには、カロチンやポリフェノールのような活性酸素を除去する物質を摂取するとよい。
また、変質してしまったコレステロールは、速やかに体外に排出させるとよい。コレステロールは脂質なので水には溶けないが、レシチンといっしょになると、胆汁に混じって便として体外に出て行ってくれる。卵の黄身にはレシチンがたっぷり含まれている。卵は理想的な栄養源と言える。

(「医学常識はウソだらけ」第1章・第3章による。なお、レシチンは豆乳にも豊富に含まれている。)


ビタミン

◎ビタミンC(水溶性):活性酸素を除去し、がんを防ぐ働きをする。分子構造は単純なので、合成品でよい。水溶性。
安価で高い効果が期待できる、「われらのビタミンC」である。ただし、ビタミンCの血中濃度が高すぎると活性酸素が発生しやすくなり、がんを防ぐどころか、がんの原因になるので注意。「ポーリング(ノーベル化学賞、平和賞)の奥さんは、カゼをひくと1日に40gのビタミンCをとっていた。彼女が全身のがんで亡くなったのはビタミンCの発がん性による、とボクは思っている。」(1994.4.08 産経新聞「92歳三石巌のどうぞお先に」)
ちなみに、私がドラッグストアで買って来たビタミンCでは、「成人は1日6錠」(1.4g)となっている。三石氏は「ビタミンCが1日2gを超えると、ビタミンEを摂ってバランスを取る必要がある」と語っている。ビタミンCは1日2gまでと覚えておけばよいだろう。

◎ビタミンE(脂溶性):活性酸素を除去し、がんを防ぐ働きをする。ビタミンCを水溶性の代表とすれば、ビタミンEは脂溶性の代表。分子構造が複雑なので、天然由来のものでないとダメ。私はamazonで天然由来品を買って飲んでいる。
油脂をいっしょに摂らないと消化吸収されないため、オブラートにすり胡麻を包んだり、豆乳にアマニ油を少し垂らしたりして、いっしょに飲む。

◎ビタミンA(脂溶性):酵素の助手を務め、細胞の正常な分裂を促し、DNAを修復する(酵素は助手がいないと働かない)。分子構造が複雑なので、天然由来品に限る。レバー、卵黄、牛乳などに多く含まれる。脂溶性なので、油をいっしょに摂る必要がある。
卵などから摂取できるので、買わなくてもよい。補助的なものだ。

◎マルチビタミン剤:ビタミンB群などが必要だが、個別に摂ろうとすると切りがないので総合ビタミン剤を利用している。ナイアシン、パントテン酸、クロム、亜鉛、鉄、銅、葉酸なども含まれている。

水溶性ビタミンは細胞や血液の中、脂溶性ビタミンは細胞膜など働く場所が異なるので、さまざまなビタミンを摂る必要がある。とにかく脂溶性ビタミンは油脂といっしょに摂ることが重要だ。

ただし、人が必要とする量は、本当は「個体差」があり、ストレスによっても変動し、水溶性のビタミンで10〜100倍、脂溶性のビタミンで1〜10倍にもなるという。しかし、自分の本当の必要量を知ることはできない。三石氏は「自分の親や兄弟姉妹の体質(どんな病気をしたかなど)、自分自身の体質や体調から類推しながら決めるように」という。自己責任で判断するしかない。
私の場合、病身で以前のように食事は摂れないので、「普通の人より多目でちょうどよいだろう」と考え、説明書きの量プラスアルファくらいに摂っている。

ビタミン剤 ビタミン剤 ビタミン剤

その他

◎コエンザイムQ10:別名をユビキノンといい、ビタミンCやビタミンEと連携して、抗酸化ネットワークをつくる。ビタミンCやビタミンEといっしょに摂ると、相乗効果で効果が高まると考えられる。
◎ミネラル:亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム、セレンなども、ビタミンと同様、協同因子として作用する。おおむね、マルチビタミンで用は足りると思う。
ミネラルは、ビタミンに比べると過剰摂取の影響が出やすいので、複数のサプリを重ねて摂る際は注意が必要だというが、私自身は「よほど無茶な摂り方をしない限り大きな問題はないだろう」と考えて、あまり気にしていない。

ビタミン・ミネラルには、なぜ体に必要なの?

人体の再生ビタミンやミネラルは、体によいと言われる。では、なぜよいのだろう?
三石氏は「協同因子」という概念を立てている。
DNAにはさまざまな細胞の設計図が記されており、それぞれにカギ穴がある。そのカギ穴に素材であるタンパク質と体内での化学変化を助ける酵素、各場面で必要とされるビタミンやミネラルがはまったとき、細胞や血液、皮膚や骨などが形成される。
酵素の説明をすると、物質は高温では化学変化を起こしやすいが、常温では安定している。たとえば角砂糖にライターで火をつけても、燃えない。しかし、灰をまぶすと燃える。酵素はそのように体内での化学変化を助ける働きを持つ。
三石氏にもすべてがわかっているわけではないようだ。「ビタミンEが、コーディングのどの場面で働くのか、私は知りません。しかし、このビタミンEが核内に入ることは、知られているのです。また、ヨードが、コーディングのどの場面で働くのかも、私には分かりません。しかし、ヨードが核膜にくっついていることは知られています。」(「分子栄養学のすすめ」p.106)

さしあたり、ビタミンやミネラルはDNAの要請に応えて細胞を製造するパーツのひとつであり、十分に摂取することが大切と理解しておけばよさそうだ。


活性酸素の除去

三石氏は活性酸素を除去する物質(抗酸化物質)をスカベンジャーと呼ぶ。身近なスカベンジャーには、緑黄色野菜に多く含まれるベータカロチンや、卵黄や赤身の魚に含まれるキサントフィル、赤ワインや緑茶やゴマなどに含まれるポリフェノールがある。
ビタミンCやビタミンEには、スカベンジャーとしての働きもある。

◎カロチン(脂溶性):アルファカロチン、ベータカロチン、ガンマカロチンの3種類がある。体内にビタミンAが足りないときは、どれもビタミンAに変化する。それを一番容易にやってのけるのがベータカロチンで、ニンジンに多く含まれる。
カロチンはそのままスカベンシャーとしても働く。と言うよりは、スカベンジャーとして働いてほしいので、別にビタミンAを十分摂取することが大切だ。

私は1日に1〜2回、ジューサーでニンジンジュースをつくって飲んでいる。キャベツやレタスもあれば入れる。野菜はサラダよりジュースの方が、はるかに効率的に栄養を摂取できる。

カロチンサプリジュースをつくるのが面倒なときは、サプリのカロチンを利用している(実は最初にこのページをアップして、かなり経ってから思いついて取り入れたのだが、とても便利で、最近はジュースづくりはサボり気味になっている)。

ニンジンジュースのカロチンも、ぶどうジュースのポリフェノールも脂溶性なので、油脂分をいっしょに摂らないと吸収されない。そこで、豆乳にアマニ油を垂らしたものを少し飲む(アマニ油はKALDIで買ってきた)。
アマニ油は良質なものを選び、酸化しないよう、冷蔵庫に保管している。オリーブオイルやえごま油などでもよいだろう。一口サイズのミニ紙コップを常備しておくと、使い捨てに便利だ。100円ショップにある。
また、すり胡麻をオブラートに包んで飲む。ゴマの油分を摂取できるし、ゴマ自体がポリフェノールをたっぷり含んでいる。

粉茶(緑茶)もオブラートに包んで飲む。
古代中国では「南方に生命の嘉木あり」(『茶経』)と言われ、宋の時代には野菜のできないモンゴル周辺の遊牧民は、わずか10kgのお茶と馬1頭を交換していた。ビタミン類が豊富だし、サプリにはないナチュラルな栄養分やミネラルもありそうだ。
ただし、熱を加えると分子同士がくっついて、腸壁から吸収されない大きさになってしまうので、葉のまま摂るのである。


ニンジンジュースと豆乳 ニンジンジュースと豆乳 ニンジンジュースと豆乳

アーモンドも何粒か「つまみ」で食べる。アーモンドの油は良質な不飽和脂肪酸で非常にヘルシーであり、食物繊維が多くて腸の掃除によく、便通をよくするとのことである。カリウムも多く含まれている。
ただし、食物繊維も摂りすぎると、鉄・亜鉛・銅などのミネラル分が吸着され、体外に排出されてしまうという。

同じような意味で、玄米食にこだわるのもよくないそうだ。玄米に含まれるフィチン酸には、重金属をはじめとする発がん物質を吸着して体外に排出させる働きがあるが、同時に鉄・亜鉛・銅などのミネラル分も排出させてしまう。「医学常識はウソだらけ」には、玄米食を続けたために母乳からミネラル分が失われ、赤ちゃんを病気にしてしまった母親という例が出てくる。

さて、高タンパク・高ビタミンの効果は、どのくらいのものなのだろうか?
三石氏自身は「がんは予防できるというのは、何もしないでいると70%の確率でがんになる人でも、10%に減らせるというほどの意味である。」と書いている。(「ガンは予防できる」p.11)また、「医学常識はウソだらけ」(第2章、p.141)には、末期の肝臓がんが治った人の話も載っているし、「分子栄養学のすすめ」(p.94)には、乳がんの人にビタミンCの摂取を勧めて、しこりが消えた例がいくつもあると書かれている。

もちろん、栄養健康法だけで簡単に治るほど、がんは生易しい病気ではないだろう。それに、ビタミンやカロチンは、本来、がんを「攻撃」するものではない。「防衛」に努めることで、体の自然な治癒機能が喚起されたと考えるのが自然だろう。

3大治療は体力を大幅に奪う。とくに抗がん剤は副作用も強い。だからこそ、患者も体調の維持に努めなければならない。
栄養をしっかり摂取することは、少なくとも体に悪いものではないはずだ。三石理論を評価しない医師でも、「健康法」としては否定しないだろう。
実際、私の栄養面での検査結果はとてもよく、病院の栄養指導でも栄養士さんに褒められた。それががん消滅に一役買った可能性はあると思う。

似非医学と民間療法について

がんには素人から見ると本当かウソか見分けがつき難い、さまざまな治療法が存在する。

ビタミンC療法:高濃度のビタミンC点滴ががんに効くとされる。しかし、手術をして頂いた神奈川県立がんセンターの外科の先生によると、「とやかく言うような治療法ではないですが、手に入るデータを見る限り、成績はよくありません」とのことである。
私としては「風邪に生姜」みたいなものではないかと考えている。効果はゼロではないかもしれないし、副作用がないのはメリットかもしれないが、正統な医学に遠く及ばないというような…。
ビタミンC療法が提唱された時代から40年が経ち、医学は大幅に進んでいる。ビタミンCは栄養としては意味があるが、点滴のビタミンC療法は無駄だと思う。
こういうことをやる医師は、信用しない方がよい。

糖質断ち:「がん細胞は糖質を食べるので、糖質を断つべきだ」という話もある。しかし、糖質は体を動かすために必要な栄養素であり、足りない場合は血中の脂肪、筋肉中のタンパク質や脂肪が分解されて糖質とされる。そんなことでタンパク質を使われたら、体の組織の再生や修復に支障をきたしてしまう。
私は、パン&ジャム、グラノーラやシリアル、バナナ、菓子類などからしっかり糖質を補給している。どうにも食欲がないときは、介護用の高カロリーゼリーを摂る。おいしくはないが摂取しやすく、食べ物がのどを通らない日は助かる。
【HP】エンジョイ小さなハイカロリーゼリー(クリニコ)
なお、外科の先生によると、「末期のがんは糖質に限らず、あらゆる栄養を食べる」とのことなので、進行がんで糖質を絶っても意味はない。

ANK細胞療法・NK細胞療法:免疫療法のひとつに、ANK細胞療法・NK細胞療法というものもあるので、抗がん剤治療を担当して頂いている主治医の内科の先生に聞いてみた。
すると「これは何百万円もかかって、効果は全くありません。もう、わかっているんです。アメリカなら裁判で潰れているはずですが、日本はそういう社会ではないので、やっていられるんですよ」とのことだった。神奈川県立がんセンターでは免疫科を置いて研究したが、無効と結論したそうである。

主治医の話でだいぶ興味は失せたが、あるクリニックにすでにアポを取ってあったので、話を聞きに行った。すると、基本料金はワンクール430万円とのことだった。また、何人中何人、がんが消えたかを聞いたが、「ANK療法は体の状態によって効果が大きく違います。いい加減な数字ならお見せできますが、それが誠実であると思いません」などと誤魔化し、結局、数字は見せてくれなかった。

「アメリカではできず、日本の職人芸でできた」とも聞いた。しかし、ただの細胞培養をノーベル賞クラスの学者が掃いて捨てるほどいるアメリカでできないなど、あり得るだろか? 詐欺師のレトリックという感じがする。

冷静になって考えれば、
保険診療で認められていない治療法は、
1.有効性が確認されていない。
2.安全性が確認されていない。
3.その両方。

のいずれかのはずだ。
ANK細胞療法・NK細胞療法は、ウソだと判断した。もし、あえて話を聞きに行くのであれば、ほかの療法と併用せず、ANK細胞療法・NK細胞療法のみで治った人のパーセンテージを確認することをお勧めしたい(抗がん剤を併用してよくなった場合、それは抗がん剤が効いた可能性が高い)。

ただし、免疫に全く意味がないというのも不自然だ。
NK細胞は白血球の仲間で、がん細胞を殺す力を持っている。がん細胞は健康な人でも1日に数千個発生し、消滅している。それはNK細胞の働きによる。
では、ANK細胞療法・NK細胞療法が効かないのは、なぜだろう? 必要以上のNK細胞を人工培養して、一時的に体に入れても意味がないのかもしれない。

三石氏は「体は合目的的に動く。NK細胞にしたって、用もないのにやみくもにつくられるはずはない。酸素のうすい高地にうつり住んだら、赤血球がふえるってことを考えたらわかる。
必要に応じて事がおきるのをフィードバックと呼ぶ。フィードバックシステムがまともに働けば、必要なNK細胞はつくられる。」(1994.11.4および12.9 産経新聞「92歳三石巌のどうぞお先に」より要約)と書いている。

わずかながら保険診療が認められた免疫治療もあるとも聞く(本当かウソかは知らない)が、それがあなたの病状に適合するかどうかは別問題である。すべての治療法には「合う人」「効く段階」というものがあり、特殊な治療法を行なっている病院に行ってみたいときは、主治医に相談するのが原則だ。自分勝手に出かけていくと、意味のない治療法を施されてお金だけが出て行く怖れがある。

三石氏のプロテイン「SOS」について

三石氏の「医学常識はウソだらけ」には、末期の肝臓がんの人に、三石氏が開発した「SOS」というものとビタミン剤を送ったらよくなったという話が出てくる。調べてみると、三石氏の娘さんにあたる方がメグビーという会社を経営しておられるので、私もいくつか商品を取り寄せてみた。今は「SOS」はなく、プロティン商品群に置き換わっているようだ。「SOS」とは、要するにプロティンである。

ただし、この本が書かれた当時、プロティンは画期的だったのかも知れないが、今ではその辺で多種多様なものが売られている。
メグビー製品のプロテインの材料には「ホエイ」のものも「ソイ」のものもあり、それにビタミンやコエンザイムなどが混ぜてある。たぶん値段では大メーカーにかなわないので、ビタミンなどを混ぜることで付加価値をつけているつもりだろう。しかし、あまり意味のある工夫とは思われない。
そんなわけで、私自身はメグビーの製品は継続せず、安価なドラッグストアやamazonの製品を自分なりにくふうすることにしたが、経済的に余裕があり、知識のあるスタッフからアドバイスを受けながらやっていきたい方は試してみてもよいだろう。
【HP】メグビー

がんから生還するために

がんになった人が、標準治療以外の治療法に救いを見出そうとする気持ちは、よくわかる。
しかし、標準治療以外の治療法で国から効果が認められているものは、重粒子線治療くらいしかない。
※重粒子線は放射線の一種で、狭い範囲のがんを切り取る・焼き切るようなイメージの治療。従来の治療が困難だった難治性の肉腫などに効果があるが、ほとんどのがんで保険は利かず、350万円ほどかかる。がん保険で先進医療特約をつけておくと、お金の心配をせずに利用できる。ただし、どんながんにも有効というわけではない。

「どこかで標準治療を超えないと助からない」という焦りがあると判断を誤ってしまいがちだが、最も確実なのは標準治療なのだ。

ここで標準医療の意味を強調していきたい。「標準」という言葉の語感から「上中下」の「中」や、寿司やうなぎの「並」と思っている方が多いが、それは全く違う。この場合、「標準医療とは、世界中どこでも通用する、効果が実証された治療法」という意味であり、先進医療より格上なのだ。

さて、私のPET-CTの画像は真っ赤だったが、抗がん剤の化学療法を受けて、4ヶ月で素人目にもすっかり治まった。主治医もそこまでは予想していなかったようなので、「ハイブリッド作戦」が功を奏したと思っている。

がんが複数箇所あっても、ひとつひとつ潰していけばよい。ある医師の言葉を借りると、「ゲームでは叩いても叩いても、もぐらが出てくるが、現実には叩けばその分だけ、もぐらは確実に減る」。(「このまま死んでる場合じゃない!」岡田直美・善本考香 講談社 P.72)

だから、「まずは理屈で説明のつく健康法を取り入れて、標準治療で治る可能性を高めませんか? 人体の組織の再生に必要なタンパク質(アミノ酸)を揃えて摂るだけでも、だいぶ違うと思いますよ」という話をしているのである。

気功や念力治療は、がんにどの程度有効か?

わらにもすがる気持ちで、気功や念力治療に頼る人がいる。人それぞれ考えはあるだろうが、私はこの種の力は「ある」と思っている。問題は、どの程度効くかである。
私には編集ライターとして知り合った念力ヒーラーさんがいる。私が手術を受ける前、そのヒーラーさんから電話がかかってきて、「遠隔治療をやってみる」という。しかし、治らなかった。ちなみにビジネスマンに絶大な人気を誇った船井幸雄氏や、不思議世界の探求で知られる森田健氏から「本物」と紹介されている人である。
また、日本人ヒマラヤ聖者として知られる成瀬雅春氏は、超人的な能力を持つとされているが、「いったん出来てしまったがんを治すのは、とても難しい」と語っている。
エスパー・小林氏も「小さながん細胞なら対処できたこともあるが、末期がんは穴のあいた桶に水を汲み入れるようなもので、とてもこちらの体力が追いつかない。できるのは、痛みの緩和まで」と書いている。
高い能力を持つ人にとっても、がんの治療は相当に難しいらしい。しかし、全否定するわけではない。無理のない値段でやれることがあれば、標準治療と併用して、やってみてもよいだろう。
標準治療なしで、気功や念力治療に頼るのには賛成しない。

●お勧めできる、がん情報サイト
【HP】国立がん研究センター がん情報サービス
【HP】日本対がん協会
【HP】放射線Q&A(放射線医学総合研究所)
【HP】重粒子線治療とは(医療原子力技術研究振興財団)

この記事が役に立ったら、シェアしてください。

著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

【日本の政治・経済・社会】

国が異常なまでに「辺野古移設」にこだわる死活的な意味とは何か?

参院選の「定数6増」は、実は野党に有利であることをわかっているか?

名こそ惜しけれ:責任感に欠けた世の中に求められる、関東武士の精神

憲法改正「合区解消」&参院選改革:対応策を洗いざらい整理して明確にしてみた。

森友学園問題とは、何だったのか? その核心に迫る。

東京三菱UFJ・みずほが店舗を大幅削減! ー銀行再編劇から見える資本主義の未来ー

リベラルを継ぐ者は、立憲民主党か希望の党か?

「日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々に」〜中曽根康弘元総理の日本国憲法前文を、ぜひ新憲法へ!

衆院選でついに日本最大の格差問題に手をつけるか、安倍政権!?

福田有恒の「1匹と99匹」から考える、左派の本質と改革

国際政治が面白いほど読み解けるマクロな視点から、日本と東アジアを3分で理解する

がんからの生還ー標準治療と高タンパク・高ビタミンの「ハイブリッド作戦」

岩盤規制入門:利権のために国民を犠牲にする権益団体や官僚たちとの戦い

安倍首相が稲田防衛大臣を守り続ける本当の理由とは?

総理が死んだら、誰が自衛隊を指揮するのか?

憲法9条の改正は、第3項の追加が現実的である

日本国憲法が一度も改正されたことがない本当の理由

【最近の記事】

「聖徳太子はいなかった」は、本当か?〜聖徳太子不在論の真実

政治を「祭り事」というのは、なぜか? 歴史を遡り、その秘密を解く!

国が異常なまでに「辺野古移設」にこだわる死活的な意味とは何か?

北方領土についての、これ以上にない「正しい理解」

日本人はどこから来て、どこへ行くのか?ー天皇と神道の淵源を探る

参院選の「定数6増」は、実は野党に有利であることをわかっているか?

移民国家アメリカが移民を拒否したとき、何が起こるのか?

名こそ惜しけれ:責任感に欠けた世の中に求められる、関東武士の精神

北朝鮮の非核化は、ロシアにとって損か得か?

トランプは拉致問題の完全解決を狙っている〜では、日本の今後の対応は?

落ちこぼれから世紀の大品種へ〜コシヒカリの奇跡

新興国中国と覇権国アメリカが衝突〜「トゥキディデスの罠」より危険なものは米中の取引

憲法改正「合区解消」&参院選改革:対応策を洗いざらい整理して明確にしてみた。

中国がアメリカを抜く日は来ない〜習近平独裁政権の前に立ちはだかる苦難

「体制維持」にこだわる金正恩が、本当に怖れているものの正体とは?

Copyright © 「国民のための社会科」 All Rights Reserved.