国民のための社会科

日本の政治・経済・社会

森友学園問題とは、何だったのか? その核心に迫る。

2018年3月21日

公私ともに忙しく、しばらく間が空いてしまった。さて、何から始めようと考えて、今は森友学園の話で持ちきりなので、この件について書いてみよう。


おそらく世間の人々が知りたいのは、「結局、森友問題って何なの?」ということだと思う。だが、真面目に報道内容を検討するほど、細部に入り込んで、わからなくなってしまう。そこに朝日新聞が証拠もないのに「疑わしい」という記事を載せる。
証拠なしに「疑わしい、疑わしい」と言ってよいのなら、1000年でも2000年でも話を続けることができるだろう。これでは、余計わかりにくくなってしまう。

もっとシンプルに捉えればよろしい。
一言で言えば、「安倍夫人が森友に騙された」のである。

2014年4月、安倍昭恵首相夫人が、森友学園の視察と教職員研修で訪問した際、籠池泰典氏が園児たちに「首相の安倍晋三って、どんな人?」と問うた。
園児たちは「日本を守ってくれる人」と答え、昭恵夫人は「ありがとう。ちゃんと伝えます」と涙を浮かべながら述べたという。

籠池氏にはかなり「右」の傾向が感じられるが、「右」であろうと、「左」であろうと、キリスト教であろうと、教育方針をどう取るかということは、私立の学園であれば自由であろう。
問題はその後だ。ザッと展開を見てみよう。

2014年10月、森友学園が大阪府に小学校設置認可を申請。
2015年5月、学園と近畿財務局が国有地の定期借地契約を締結。
2016年3月、地中からごみが見つかる。
 同年4月、国土交通省大阪航空局が、ごみ撤去の費用を約8億2000万円と清算。
 同年6月、学園が国有地を約1億3400万円で購入。
2017年2月、国有地が鑑定評価額から約8億円値引きして学園に売却されたことが発覚。
 同年3月、学園が小学校の設置認可を取り下げ。
 同年7月、大阪地検特捜部が籠池氏らを、国の補助金をだまし取った疑いで逮捕。
 同年11月、会計検査院が、値引きについて「根拠不十分」とする検査結果を公表。
2018年3月2日、朝日新聞が「決済文書が書き換えらた疑いがある」と報道。
 同年同月9日、佐川宣寿国税庁長官が辞任。

「疑わしい、疑わしい」ではなく、事実としてわかっているのは、安倍明恵夫人が籠池氏と会ったこと。
国有地が不自然な価格で売却されたこと、公文書が書き換えられたことだけだ。

これをもって、野党や朝日新聞が「安倍首相が安く売るように直接指示したのではないか?」という印象操作を行ってきた。頭の弱い人は乗せられてしまう。

結論から言えば、国のトップにいるような政治家が、ひとつの小学校の問題で指示出しをして動くなど、まずあり得ない。
となると、昭恵夫人と一緒に写った写真を示して売却交渉を有利に運ぼうとした籠池氏のダマシに、近畿財務局の官僚がうまく乗せられ、「忖度」をして、さまざまな操作を行ってしまったと考えるのが、最も腑に落ちる。

そして、財務省は、ごみ撤去費用が曖昧だったところを籠池氏につけ込まれ、小学校開設が遅れて訴訟になるのを恐れて、値引きを飲んだのだろう。

では、政治家やその夫人、秘書らがこの種の問題を完全に防げるのかと言えば、それは無理である。陳情が来ても、視察に行くことさえできなくなってしまう。

たとえて言えば、あなたが仕事で知り合った人と名刺交換をしたら、その相手があなたの名刺で銀座で飲み歩き、あなたに請求が来たというケースに近い。これは防げないのである。


ただし、ダマシに引っかかった近畿財務局は間抜けであるし、公文書を偽造したとなれば、国の信頼を揺るがす問題になる。

とくに公文書偽造が突きつけている問題は大きい。国会に虚偽を含んだ行政文書が提示され、それに基づいて質疑も行われてきたとすれば、何を信じてよいのか、わからなくなってしまうからだ。また、今回の件で、官僚が政治家の顔色を伺いながら仕事をしている実態も浮き彫りになった。官僚には官僚が従うべきルールと矜持があるだろうに、これは情けない。

さて、森友問題に関しては、だれがどう責任を取るべきか、それが問題となってくるだろう。
「安倍辞めろ!」「麻生辞めろ!」の声も上がっている。

気持ちとしてはわかるが、まともな社会人なら、そういう短絡思考ではいけない。
役所で不適切なものが見つかるたびに閣僚が辞めなければならないとすれば、政権や閣僚に不満を持つ人間が、官僚をだまして閣僚を辞任に追い込んだり、場合によっては倒閣までできることになってしまう。それでは民主主義や政治の屋台骨が揺らいでしまう。


さて、昭恵夫人も愛国心を掲げて近づいてくるような人物には、警戒しなければならないことは、身に沁みてわかったに違いない。
利用されたのなら、「だまされました。これから気をつけます」と言うだけでかまわないので、国会に出て説明すべきだろう。
「気をつける」といっても、勝手に写真を使われては気をつけようもないが、国民に何がどうなっていたのは伝わるだろう。

今の日本には、この程度の問題にかかずらわっている暇はない。

「もりかけ」という蕎麦屋のメニューの「かけ」(加計問題)は、その本質は「日本社会の岩盤」だったが、なぜか岩盤にしがみついて既得権益を守ろうとする野党が善玉で、改革を進める与党が悪玉にされた。話が逆だろう。

「もり」も単に詐欺に利用されただけなのに、大火事になってしまった。本来、ここまで大問題になるような話ではなかったので、政府も初動を誤ったのだろうが、それにしてもデュアルでうまくまわされて、火を大きくされた。

この情報操作の上手さは、プロの手になるものだ。私は、背後に中国特務の影があるように感じている。ちなみに、朝日新聞がその影響下にあることは、広く知られている通りである。

野党もほかにやることがないのだろうが、日本の国が置かれている状況を自覚してもらいたい。
国会も公文書管理のあり方などをきちんと議論していくようにして、この問題に決着をつけてほしいと思うが、まだ、当分収まりそうもない。

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著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

【日本の政治・経済・社会】

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