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地球環境問題

地球温暖化は、本当に「悪」か? 二酸化炭素のせいなのか?

2011年04月14日

地球温暖化が世界的な問題となっている。北極、南極、高山の氷が溶けて海面が上昇し、ツバルやモルジブなどの小さな島は水没の危機にさらされている。
台風やハリケーンの大型化、集中豪雨の激化も、地球温暖化による気象変動が原因ではないかと言われている。
地球温暖化の主原因とされるのが、二酸化炭素である。温室効果ガスにはほかにもフロンなどがあるが、代表的は二酸化炭素だろう。そのため、排出する二酸化炭素を減らすことが、急務とされている。

二酸化炭素に温室効果があるのは事実である。だからといって、二酸化炭素のせいで地球温暖化が進んでいると限らない。暑くなればアイスクリームが売れるが、アイスクリームが売れたら暑くなるわけではないのと同じだ。実際のところ、地球の歴史の上では、気温の上昇や下降は、ごく普通に起きている現象に過ぎない。地球の歴史どころか、人類の文明史の範囲に限っても、気温は変化している。

地球がまだ氷河期だった1万3000年くらい前の旧石器時代末期、シベリアで始まった小型の石刃石器が、日本列島全体に広まった。槍などの先につけるもので、これを細石刃文化という。人の移動の範囲は広く、ウラジオストック北東500kmのウスチノフカ村の遺跡から、隠岐(島根県)の黒曜石が発見されている。凍った日本海の上を、徒歩かそりで運んだのだろう。
氷河期はやがて終わり、氷に閉ざされていた日本海に暖流の対馬海流が間欠的に流れ込み始めた。そのころ、細石刃文化を母体として縄文文化が発生した。文化が誕生するには、「ちょうどよい気温」があるのだと思われる。

温暖化はさらに進み、縄文後期の平均気温は、今より2〜3℃ほど高くなった。いわゆる「縄文海進」である。その後、再び地球は寒冷化し、紀元前1000年ごろには、平均気温は今より1〜2度低くなった。寒冷化するにつれて、日本列島では北海道を除いて、北アジアより中国華南地方との交流がさかんになっていった。
こうして見ると、気温の変動など地球の歴史の上では当たり前のことだったことがわかるだろう。


ロシアのプーチン大統領は、2003年にモスクワで国際気候変動会議が開催された際、「将来、地球が温かくなれば、毛皮のコートやほかの余計なものにお金がかからなくなる」と述べ、地球温暖化はロシアにとってプラスに働くという考えを示した。確かに温暖化が進めば、ロシアの凍った大地は緑の農地となり、作物の収穫量も増えるだろう。北極海の氷が溶ければ、北極海を抜けて世界各国へ向かう新航路もできる。街は住みやすくなり、観光客も増えるに違いない。
プーチン発言を聞くと、「ロシアは世界共通の問題を解決するより、自国の都合ばかり考えている」と思うかもしれない。しかし、「だれにとって都合がよいか」ということは、相対的な問題に過ぎない。

ナイル川のほとりで古代エジプト文明の繁栄が始まったのは、日本でいう縄文後期以降である。今より気温が2〜3℃高かったその時代は雨量も多く、土地は緑におおわれてた。寒冷化とともに雨量が減って砂漠化が進んで現在のような砂漠地帯となったが、温暖化によって再び緑におおわれれば、エジプト国民は大喜びだろう。

温暖化が進めば植物の植生も変わり、栽培できる作物も変わっていく。海水温も変化し、漁業も影響を受ける。
しかし、それがもし二酸化炭素のせいではなく、「地球そのものの変動」であるならば、黙って受け入れる以外に方法はないだろう。


地球温暖化はよくないという発想は、結局、暮らしやすい温帯にある先進国のものだろう。

近年、温暖化が進んでいて、水没の危機にさらされている島があり、熱波や寒波や集中豪雨といった温暖化が原因と疑われる異常気象が発生している以上、そして、「クロ」と特定はできなくとも二酸化炭素に温室効果がある以上、これまでに大量の二酸化炭素を排出してきた先進国が、その削減に取り組むのは、義務かもしれない。
しかし、温暖化は地球そのものの動きかもしれず、地球温暖化はすべての国や地域にとって「不都合な真実」ではないという冷静な視点は持っていたいものである。

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著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

【地球環境問題】

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