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朝鮮半島と日本

トランプは拉致問題の完全解決を狙っている〜では、日本の今後の対応は?

2018年6月12日

今日、2018年6月12日は、記念すべき米朝会談の日となった。このサイトでも取り上げていこうと思うが、新聞やテレビで言われていることをやってもしょうがない。
私としては、2つのことを書きたいと思う。1つは拉致問題解決について、どのような展開が予想されるのかということ。もうひとつは、陰に隠れて動きが見えないが、ロシアは何を考えているのかということである。
今日は、まず拉致問題解決の展開について、である。


ヤフーのトップページを開いていたら、「米大統領、拉致問題提起せず」と出ていた(声明に載っていなかったということだろう)。「そんなはずはない」と思っていたが、しばらくしたら「米大統領 会談で拉致問題提起」と出てきた。
詳細は公開されないはずなので、推測を公開しようと思う。もちろん、あくまで私個人の推測である。

私は、トランプは、拉致問題の完全解決を狙っていると考えている。

最初に断っておくが、こういう話になると、必ず「選挙対策の人気取り」だの、「ノーベル平和賞狙い」だのと言い出す人がいるものだが、政治は素直に見るのが一番よくわかる。
絶対ないとは言わないが、非本質的な話をしていると、どんどん「あさって」の方へ進んでしまう。

なぜ、「拉致問題の完全解決を狙っている」と考えられるのか?
これはトランプの発言から読み取れる。トランプはこれまで「韓国も支援するし、日本も支援する。中国も支援するだろう」と、何度も繰り返してきた。数えているわけではないが、3回は言っただろう。
そこから、「日本の経済支援を何度も明確に語るのは、彼の中に拉致問題の完全解決を図る意思があるためだろう」と読めるのである。

一方、安倍首相は拉致問題については、アメリカ任せにせず、最終的に日朝が直接話し合わなければならないことを、肚をくくって内外に明らかにした。これはタイミングから見て、
トランプ:「シンゾウ。拉致問題のことは、必ず金正恩との会談で取り上げよう。しかし、相手が話に乗ってくるかな?」
安倍:「具体的な話は、こちらでする。」
トランプ:「わかった。アメリカは全力を挙げて、解決に協力する。」

…というような会話があったのかと推測できる。協力内容については、もう少し具体的な話があったと思う。

いずれにせよ、現在の政権が「トランプに〝お願い〟して、見守るしかない」というような他力本願ではないことは、素直に評価すべきだろう。この難しいときに、昔の民主党のようなトンチンカンでなかったのは、幸いである。


トランプが拉致問題に協力するであろうという件では、もう少し裏付けもできる。

2017年6月、北朝鮮で1年3カ月以上拘束され、昏睡状態となっていたアメリカの大学生が死亡し、トランプはこの問題を大きく取り上げた。戦争前に世論を盛り上げるためのアメリカのパターン行動である。実際にはどうやら戦争につながらずに済んだが、アメリカ人には「非道なことは許さない」「アメリカが世界の導き手にならなければならない」という気持ちがある。

それはなぜかと言えば、日本では視点そのものが欠落しているが、アメリカは宗教国家であるからだ。

第1に、アメリカは基本的にプロテスタントの国であり、「社会をよくする」というミッションを果たすことは、自分たちの義務であると考えている。

第2に、建国の最初期にイギリスから渡ってきた清教徒(ピューリタン)のウィンスロップが唱えた「私たちはすべての人々の目が注がれる丘の上の街となるべきだ」という理想主義は、混乱している現在のアメリカでもまだ生きている。

第3に、キリスト教徒らしく、拉致問題の解決は、金正恩の贖罪のために必要と考えていると思われる。逆に言えば、金正恩が拉致問題の全面解決をはかれば、「贖罪は成った」と考えて、フセインやカダフィに対して行ったような掃討作戦は取らないかもしれない。


話はようやくスタートラインに立った。まだ、具体的な像は乏しいが、今後、実際に行動が伴うようであれば、日本も拉致問題解決へ向けて動けるだろう。

2002年に小泉純一郎と金正日が出した日朝平壌宣言は、うやむやにされて久しい。安倍首相の認識通り、拉致問題は日朝間で直接話し合わなければ先へ進まない。誤魔化されないように、まずは北朝鮮と共同調査団を組み、そのための事務所を北朝鮮に設置するといった展開になっていくのではないだろうか。

拉致は北朝鮮にとって最後のカードであるから、最後まで取っておこうとするだろう。前途は多難だ。それでも攻めの武力カードを持たない日本にとって、貴重な外交のチャンスである。一歩ずつ進めていくしかない。

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著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

【朝鮮半島と日本】

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