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朝鮮半島と日本

親北・反日の文在寅大統領誕生で混乱する朝鮮半島

2017年5月13日

韓国で、5月10日、文在寅(ムン・ジェイン)が大統領に就任した。9年ぶりの左派政権の誕生である。
慰安婦合意については、早速、「国民が受け入れない」と主張している。仕事で言えば「社長が替わったので、その契約は反故」と言っているようなもので、日本人にとっては嫌韓を通り越して呆韓の境地だろう。呆れるしかない。

こういうとき「国際条約を結んだ以上は、守らなくてはならない」と国民を説得できるのがリーダーというものである。たとえば、イギリスのメイ首相は個人的にはEU残留を主張していたが、現在は首相としてすでに決まった離脱へ向けて動いている。
文在寅はその逆で、この一事だけでも政治家としての器が知れる。

文在寅が慰安婦合意を守ろうとしないのは、それが文在寅自身の主張でもあるからであるが、韓国で最高の法律である「国民情緒法」に抵抗できないからでもある。
「国民情緒法」というのは韓国独特のもので、正確に言えば法ではない。立法や行政や司法よりも国民感情が優先され、たとえ法的に何の根拠がなくても、国民感情でNO!と言われたら、法廷で罪人とされる。およそまともな国のやることではない。
いずれにせよ、国際条約も守れない人物であることは間違いない。


問題は、文在寅政権がどのようなものになるかである。
まずは人物について知ることが重要だが、産経新聞「正論」欄に寄せられた西岡力氏(モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授)の「文在寅氏は左派大統領しか政権として認めていない」という指摘が、本質を突いているように思われる。

文在寅氏は5月9日夜、党関係者に対して「自信を持って第3期民主政府を力いっぱい、推し進めていく」と語った。文在寅氏は現行憲法下で誕生した7人目の大統領だが、自分は3番目だと言うのだ。その言葉を生放送で聞きながら私は、新大統領は金大中氏、盧武鉉氏だけが民主政府で、韓国の主流勢力を代表する盧泰愚、金泳三、李明博、朴槿恵各氏は違うと言いたいのではないかという疑問を抑えることができなかった。
(2017年5月10日 産経新聞 正論『韓国の「自由主義」後退が心配だ 西岡力』)

歴代の韓国大統領の中で「自分は3番目の民主政府」だという発言から浮かび上がるのは、極左とも呼べる思想的偏向である。
文在寅の今後の政局運営を予測する上では、1番目の金大中(キム・デジュン)と2番目の盧武鉉(ノ・ムヒョン)が参考になるだろう。とくに盧武鉉は文在寅が秘書を努めていた経緯もあり、目安となり得る。

盧武鉉が何をやったか?
国内の親日派を一掃し、事実上の北朝鮮スパイの活動封じである国家保安法を廃止した。そして、日米から離反して中露に接近し、開城(ケソン)工業団地などを通じて、北朝鮮に経済協力を行った。結果、表面的な平和は保てたが、内実は北朝鮮のミサイル開発を許し、脅威を拡大させた。
経済面では大企業の活動を規制して統制経済化を推し進め、新聞などのマスコミの活動も制御しようとした。

日本に対しては、国際会議の場で脈絡なく「北朝鮮による拉致問題を批判する資格があるのか」と発言したり、竹島近海で韓国の海流調査船を警戒・監視中の日本の海上保安庁の巡視船に対し、撃沈も辞さない「危害射撃」を許可し、一触即発の事態を起こしたことがある。

文在寅は今でこそ「全方位外交」といった調子のよいことを言っているが、いずれ地金が出てきて、同様な問題をきっと引き起こす。外務省・自衛隊・海上保安庁などでは、仮想のシミュレーションや指導を行うべきである。


安倍首相は電話会談で、日韓合意を守るよう、文在寅にくぎを刺した。話し合ってもあとから引っ繰り返すのでは、話し合いそのものが成立しなくなくなってしまう。
もはや10億円は手切れ金である。あとは「戦略的に無視」し、外交ゲームによって対応していくしかあるまい。

今後、大きな問題として、北朝鮮包囲網をどう構築していくかという問題がクローズアップされてくるだろう。米日韓vs中国・北朝鮮(+ロシア)という構図に重大な変化が生じる可能性は十分にある。日本・アメリカとしては、アメとムチを使い分けながら韓国をこちら側に囲い込む工夫が必要になるだろう。
さしあたり、単独では過半数に届かない文在寅の「共に民主党」が国民党あたりと連立を組めるのか、「公務員を80万人増やして雇用を創出する」といった、いかにも左派らしい非現実的な公約がどうなるのか、見物しよう。


朝鮮民族との関わりは厄介である。彼らは自分たちの間で争いが起きると外国に援助を要請して引っぱり込み、力になってもらうとその事実は秘匿し、時間が経つと平気で恩を忘れ、それどころか「我が民族は侵略を受けた」などと真顔で言う。
半島という難しい地域で生き延びるための智恵なのかもしれないが、それが習い性となっており、歴史を通じて日本も中国もこの手で迷惑を受けてきた。近代日本は荒廃した朝鮮を救い、その独立を支援したが、逆に独立を邪魔した悪者にされている。最近は中国も北朝鮮から被害を受けている。将来はアメリカもやられるだろう。


最後になるが、文在寅の行く末に想いを馳せてみよう。韓国では終わりを全うした大統領はひとりもいないからだ。

1.李承晩(イ・スンマン):選挙不正の疑惑により、ハワイへ亡命。
2.尹潽善(ユン・ボソン):朴正煕によるクーデターにより追放。
3.朴正煕(パク・チョンヒ):側近により暗殺。
4.崔圭夏(チェ・ギュハ):全斗煥・盧泰愚らによるクーデターにより追放。
5.全斗煥(チョン・ドゥファン):退任後、盧泰愚により死刑判決を受ける(のち減刑されて隠棲)。
6.盧泰愚(ノ・テウ):退任後、不正蓄財により有罪(のち恩赦により隠棲)。
7.金泳三(キム・ヨンサム):次男が不正な資金を受け取り、逮捕。
8.金大中(キム・デジュン):息子3人が収賄により逮捕。
9.盧武鉉(ノ・ムヒョン):退任後、不正資金疑惑で逮捕。自宅の裏山から投身自殺。
10.李明博(イ・ミョンパク):兄が不正資金により逮捕。
11.朴槿恵(パク・クネ):収賄疑惑により逮捕。
12.文在寅(ムン・ジェイン):
※大統領職を一時的に臨時代行した人物は含めない。

皆、末路は悲惨である。なぜ、こういうことになるのだろう。社会として未成熟なのか? 民族性なのか? 国家や社会の深いところで何か問題があるのだろうが、その話はまた別の機会にしよう。
ともあれ、それはおそらく「最終的かつ不可逆的」に取り決めた日韓合意を無視したり、外国公館前での侮辱行為を禁じたウィーン条約に違反して、釜山の日本総領事館前に慰安婦像を設置したりする行為と、どこかでリンクしているに違いない。

「困った隣人」に対してはまともな行動は期待せず、深く親交することも求めず、ある程度の距離を置いて、淡々と「君子の交わり」で対応していくのが賢明だろう。

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著者 著者

【著者】
広沢 大之助

出版業界でおもに社会科の本の編集にかかわってきました。全国の中学校の授業で使う公民・地理・歴史の資料集や参考書、その他多くの書籍をつくっています。
「国民のための社会科」では、眼光紙背の精神で、政治経済・社会問題・産業などについて、くわしく、わかりやすく解説していきたいと思っています。
プロフィール

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